2020年4月27日月曜日

新型コロナウィルスの情報を転載させて頂きます


▼新型コロナは全身の血管に感染することが判明
「全身性血管炎症」

コロナウイルスは肺だけでなく、全身の血管に感染する能力をもっていることがわかった。死んだ患者の血管内皮に、ウイルス粒子がビッシリとこびりついていた。死者の臓器では末梢の血管が崩壊しており、血液の流出を引き起こし、臓器の壊死を引き起こしていた。また追加の分析で、高齢者や糖尿病や高血圧、心疾患などにより、既に身体中の血管にダメージを受けている患者ほど、ウイルスによる血管への感染に脆弱であることがわかった。これは既知の知識である「若い人ほど軽傷で、高齢者や持病がある人ほど重症化しやすい」という現象の最終的な原因になると、研究者は結論付けている。
新型コロナウイルスは、表面にあるスパイクと呼ばれる構造を、人間の細胞表面に存在するアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することで感染します。ウイルスは肺に存在するACE2にだけ感染するのではなく、体全体の血管内皮に存在するACE2にも感染することが判明。ウイルスが感染した血管内皮は炎症を引き起こすだけでなく、ウイルスが細胞を喰い破る物理的な破壊を受けて体内で出血を引き起こす。高齢者や血管系にかかわる生活習慣病などの持病がある人は既に血管が弱っているため、ウイルスによる感染と破壊に血管が耐えきれず、症状が重篤化すると考えられます。今回の研究成果により、新型コロナウイルスの正体はただの肺炎ではなく「全身性血管炎症」であることがわかった。

研究内容はチューリッヒ大学のズザナ・ヴァルガ氏らによってまとめられ、4月20日に、世界五大医学雑誌の一つである「THE LANCET」に掲載されました。





▼「サイレント(無症候性)低酸素症」という酸素欠乏を引き起こすことを認識。
新型コロナ肺炎の場合、当初患者は酸素量が低下しても、息切れを感じない。しかしその間に驚くほど酸素濃度が低下し、中等度から重度の肺炎になっていく。正常な酸素飽和度は94%から100%だが、酸素飽和度が50%にまで低下していた例もある。コロナウイルスは界面活性剤物質(サーファクタント)を産生する肺細胞を攻撃する。この物質のおかげで、肺の中の肺胞は呼吸の合間に膨らんだ状態を維持できる。新型コロナ肺炎の炎症が起こり始めると肺胞が虚脱し酸素レベルが低下。それでも当初は肺はこの状態に適応し、硬くなることも液体を貯めることもない。この状態であれば患者は二酸化炭素を排出できる。二酸化炭素が蓄積されなければ患者は息切れを感じない。患者は血中の酸素が低下するにつれ、より速く、深く呼吸をするようになる。無症候性低酸素症とそれに対する患者の生理的反応によって炎症はいっそう進み、より多くの肺胞が虚脱する。ついには肺炎が悪化して酸素レベルが急激に低下する。患者が激しく呼吸することでいっそう肺を傷つける。患者の2割はその後より危険性の高い肺損傷段階へと進展する。液体が溜まり肺は硬くなる。二酸化炭素レベルが上昇し、患者は急性呼吸不全を発症する。目立って呼吸がきつくなり、危険なほどの低酸素レベルで病院にやってきたときにはもう最終的に人工呼吸器が必要となることが多い。 息切れを感じることなく突然死亡する新型コロナ患者の症例は、無症候性低酸素症が急速に呼吸不全に進展する事態で説明できる(ただし、新型コロナ患者の大半は症状が比較的軽度で、治療なしで1~2週間で回復しているよう)。救急で訪れる患者の肺損傷が驚くほど重篤なため、このパンデミックは医療体制に大きな負荷をかけている。新型コロナによる死亡は、肺機能の悪化によるものが圧倒的に多い。また肺炎が十分進行するまで病院に行かない患者があまりに多いため、多くの人が最終的に人工呼吸器につながれ機器不足に繋がっている。いったん人工呼吸器につながれたら、多くの人が死んでいく。
新型コロナ肺炎を患う患者をより多く迅速に特定し、それらの患者をより効果的に治療するひとつの方法がある。病院または医院でのコロナウイルス検査を待つ必要はない。普及型の医療器具を使って無症候性の低酸素症を早期に発見することが求められる。その器具とは「パルスオキシメーター」であり、ほとんどの薬局で処方箋なしに購入できる。
パルスオキシメーターは、体温計と同様、複雑なものではない。この小さな機器はボタン1つで起動する。利用者が指先に装着すると数秒で、酸素飽和度と脈拍数を表す2つの数字が表示される。パルスオキシメーターは、酸素化障害および高心拍数を検知する器具として非常に信頼度が高い。低酸素症の発見、早期治療、詳細なモニタリングは、イギリスのボリス・ジョンソン首相の治療にも役立ったよう。自分で機器を使ってチェックするにせよ、クリニックや診療所で測ってもらうにせよ、パルスオキシメーターを活用したクリーニングが広く普及することにより、新型コロナ肺炎に関連した呼吸障害を早期に発見できるシステムが確立できる。パルスオキシメーターを自宅で使う人は誤って測定した数値を誤解し、不必要にERに来訪することを避けるために、使用にあたってはかかりつけ医に相談したほうがいいだろう。慢性の肺疾患を患っていることで、新型コロナとは関係なく、数値が比較的低くなる人も一部いるかもしれない。新型コロナウイルスの検査で陽性になったすべての患者は、血中酸素飽和度のチェックを2週間にわたりするべきだ。新型コロナ肺炎は通常、この2週間のうちに発症する。咳、倦怠感、発熱のある人たちについても、たとえウイルス検査を受けていなくても、あるいは検査結果が陰性だったとしても、血中酸素飽和度のモニタリングを受けるべきだ。PCR検査の精度は約70%しかないからだ。
挿管や人工呼吸器に頼ることを避けるために私たちができることはほかにもある。患者の体位変換(患者をうつ伏せや横に寝かせること)を行うことにより、新型コロナ肺炎で最も影響を受ける下肺と後肺が開くことができる。酸素投与と体位変換は患者の呼吸を助け、多くの場合、病気の進行を防ぐように見受けられた。カプトによる予備研究では、新型コロナ肺炎が進行した患者4人のうち3人が、この戦略で対処した直後の24時間内に人工呼吸器を必要としなくなったとのこと。
(筆者のRichard Levitan氏は緊急医療医)
(C)2020 The New York Times News Services





▼新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報
エタノールなどを含む市販品の新型コロナ不活化評価を実施、結果を公表
北里大、不活化効果が認められなかったサンプルはなし

QLifePro 医療ニュース
一般内科疾患 呼吸器疾患 一般外科疾患 感染症
エタノール、界面活性剤成分含有の医薬部外品・雑貨に新型コロナの消毒効果はあるのか?
 北里大学は4月17日、市場に流通している医薬部外品・雑貨のうち、主にエタノール、界面活性剤成分を含有し、新型コロナウイルスの消毒効果が期待できる市販製品を対象に、新型コロナウイルス不活化効果を有する可能性について、試験管内でのウイルス不活化評価を実施し、その結果を発表した。これは、同大大村智記念研究所ウイルス感染制御学研究室Iの片山和彦教授らの研究グループによるもの。
 新型コロナウイルスの消毒方法は、厚生労働省、国立感染症研究所などを通じて情報が提供されている。しかし、一般に市場に流通している市販製品(医薬部外品・雑貨)による不活化効果に関する情報は少ない。
 そこで研究グループは、市場に流通している医薬部外品・雑貨のうち、主にエタノール、界面活性剤成分を含有し、新型コロナウイルスの消毒効果が期待できる市販製品を対象に、新型コロナウイルス不活化効果を有する可能性について、試験管内でのウイルス不活化評価を実施。各製品サンプルについては、製品のパッケージ裏面に書かれている使い方を参考にし、希釈が必要な場合には水道水を用いた。市販の医薬部外品及び雑貨については、十分な供給体制を確保可能なこと、海外での使用への対応が期待できることを考慮。また、同研究で評価する製品の選定にあたっては、同研究結果の公開に異議を唱えないことを前提として、国内複数企業へ製品サンプルの提供を要請し、同意が得られた企業の製品を使用した。また、新型コロナウイルス株は国立感染症研究所の2019-nCoV JPN/TY/WK-521を使用し、細胞はJCRB細胞バンクのVero-E6/TMPRSS2を使用した。製品評価は、同大大村智記念研究所ウイルス感染制御学I研究室で実施した。
 評価は、新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業・「新型コロナウイルスの増殖機構の理解と治療剤開発に関する研究」(研究代表・国立感染症研究所・竹田誠)研究参加者である片山和彦教授担当課題である「天然物ライブラリーからの抗新型コロナウイルス薬開発」のために構築した抗ウイルス作用(ウイルス不活性化効果)を示す物質を選別するための評価システムを利用して行った。
エタノールは濃度50%以上であれば、接触時間1分間で十分にウイルス不活化
 まず、100万コピーウイルスRNA/μLのウイルス液3μLを27μLの試験対象液と混合し、常温で1分間(製品裏面の使い方から、手指の洗浄、拭き取り洗浄を想定)または10分間(製品裏面の使い方から、洗濯、器具の洗浄を想定)接触させた。その後、混合した液が試験に用いる細胞に影響を及ぼさないようにするため、細胞を培養に用いる培地で希釈(100倍希釈、1,000倍希釈を試験)して添加し、6日間培養した。顕微鏡観察による細胞傷害性は毎日確認した。リアルタイムRT-PCRでのウイルス量の検出は、0日目、3日目、6日目に実施した。その結果、細胞傷害が起こらず、リアルタイムRT-PCRでもウイルスRNA量の増加が確認されなかった試験対象液を「ウイルス不活化効果あり」とした。
 接触時間1分で不活化効果が認められた製品サンプルは以下の通り。
 かんたんマイペット(原液)、クイックルワイパー 立体吸着ウエットシート 香りが残らないタイプ(絞り液)、クイックルワイパー 立体吸着ウエットシートストロング(絞り液)、クイックルJoanシート(絞り液)、クイックルJoan除菌スプレー(原液)、食卓クイックルスプレー(原液)、セイフキープ(絞り液)、トイレマジックリン 消臭・洗浄スプレー ミントの香り(原液)ハンドスキッシュEX(原液)、ビオレガード薬用泡ハンドソープ(原液)、ビオレu薬用泡ハンドソープ(3倍希釈)、ビオレガード薬用手指用消毒スプレー(原液)、ビオレガード薬用ジェルハンドソープ(3倍希釈)、ビオレu手指の消毒液(原液)、リセッシュ除菌EXプロテクトガード(原液)。
 なお、不活化効果が認められなかったサンプルはなかった。
 接触時間10分で不活化効果が認められた製品サンプルは以下の通り。
 アタック高浸透リセットパワー(3.5g/L)、アタックZERO(3,000倍希釈液)、クリーンキーパー(100倍希釈)、ワイドハイターEX パワー液体(100倍希釈液)、ワイドハイターEX パワー粉末(5.0g/L)、ワイドマジックリン(10g/L)。
 不活化効果が認められなかったのは、アタック抗菌EX スーパークリアジェル(1,200倍希釈液)。
 なお、試験系評価のため、実施したエタノールの試験結果についても開示した。水道水で濃度を調整した10%、30%、50%、70%、90%のエタノールの不活化効果について調べたところ、接触時間1分で不活化効果が認められたのは、50%、70%、90%エタノール、不活化効果が認められなかったのは、10%、30%エタノールだった。接触時間10分で不活化効果が認められたのは、50%、70%、90%エタノール、不活化効果が認められなかったのは、10%、30%エタノールだった。
 今回の研究成果により、エタノールは50%以上の濃度であれば、接触時間1分間で十分なウイルス不活化が可能であることが判明した。なお、同研究で不活化効果が確認された製品は、新型コロナウイルスの不活化に有効と考えられる。新型コロナウイルスの汚染が懸念される手指や硬質表面の洗浄のほか、日常で使用する衣類やリネン類の洗浄などへの活用が期待できる。

0 件のコメント:

コメントを投稿